扱う現象は、行動、形態、遺伝子、個体群構造・個体数、群集構造、多様性など様々ですが、一貫して扱っているテーマは、進化的・生態学的な現象における集団内の個体間の相互作用の役割です。たとえば、生物個体の間の相互作用が、どのように遺伝子の頻度の変化、個体数動態、群集の安定性、集団の分化などに影響しているのか、また種間の相互作用がどのように生物の多様性の創出や維持に影響しているのか、というような問題です。また、遺伝子、個体、集団、群集、生態系という生物の異なるレベルの現象をどのように関係づけていけばよいのか、という問題を大きなテーマとして扱っています。アプローチとして、分子レベル、個体レベル、集団レベル、生態系レベルで実際の生物を扱うと同時に、個体ベースモデルとよばれるコンピュータシミュレーションモデルによる進化予測を行っています。研究材料は、現在は、魚、カエル、貝、昆虫、甲殻類、ほ乳類、線虫、植物などです。
生物学の多くの分野は、生物の様々な性質が“どのように”なっているのか?また、“いかに”機能するのか?という問いに答えようとするものです。しかし、“なぜ”そうなっているのか?という問いに答えられるのは進化生物学です。進化のメカニズムを解明するためには、分子生物学の成果だけでなく、集団遺伝学や生態学などのマクロなレベルを扱う分野の研究が不可欠です。ミクロな現象を扱う分野とマクロな現象を扱う分野の学際的な研究が今後ますます必要になってくると思います。
また、近年、生物多様性が急激に消失している現状に対して、様々な研究が行われてきています。生物の多様性は、生態学的な相互作用の他に、進化的な応答によって、その安定性が保たれています。そこで、進化的な視点をいれた生物多様性の保全研究を今後の研究の一つのテーマとしたいと考えています。
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