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第一章 ダーウィンの進化論 1―ダーウィン以前 進化論のヒントとなった鳥たち 南アメリカのエクアドルの西、約一○○○キロメートルの太平洋上に、十以上の島々からなるガラパゴス諸島がある(図1)。 それらは火山性の島で、五百万年以上も前にできたといわれている。そこでは気候の変化が激しく、雨期には多量の雨にみまわれるが、六月から十二月にはほとんど雨が降らない。また、年による降水量の変動も激しく、最近の年間降水量は、三七ミリという年もあれば、三六四八ミリという年もある。低地は乾燥していて、低木や草原、さらにサボテンの類もみられるが、高地は湿った森林が占めている。 大陸から遠く離れて隔離されているためか、ここにはガラパゴス特有の生物が数多く生息している。イギリスの博物学者チャールズ・ロバート・ダーウィン(1809〜1882 図2)は一八三五年、海軍の測量船ビーグル号でここを訪れ、そこに棲む生物から進化論のヒントを得たという話がよく知られる。そのヒントになったといわれるのが、ダーウィンフィンチと呼ばれる小さな鳥である。 現在、ダーウィンフィンチ類は十四種に分類されている(表1、図3)。小さいものは一○グラム、大きい種類は四十グラムくらいで、色は黒っぽいものから茶色がかったものまでいる。 これらの鳥の食べ物は、種類によってバラエティーに富み、たとえばキツツキフィンチは、サボテンの刺や小枝を口にくわえ、腐った木の幹にそれを差し込み、刺や枝についた昆虫の幼虫を食べる。またサボテンフィンチは、サボテンの花の蜜を吸ったり、腐ったサボテンの葉肉を食べる。 ガラパゴスには、くちばしの長いカツオドリと呼ばれる大きな鳥や、イグアナという大きなトカゲが生息している。フィンチの中には、このカツオドリの卵を岩にぶつけて卵の中の黄身や白身を食べたり、カツオドリの背中にとまって血を吸うハシボソガラパゴスフィンチもいる。また、ガラパゴスフィンチはイグアナの背中にとまり、イグアナにつくダニを食べるという。 このように、一般にダーウィンフィンチ類といわれる鳥は、種類によって食べ物が異なり、色や大きさも少しずつ違っている。さらにくちばしも、オウムのようなくちばしをもつものや、比較的細長いラジオペンチのようなもの、また針金を曲げるときに使うペンチのような形のものなど様々である。しかしすべてのダーウィンフィンチの基本的な形態はよく似ており、上のくちばしの付け根のところに角ができているという、共通の特徴をもっている。 いったいダーウィンは、これらの鳥からどのような進化のヒントを得たのだろうか? ダーウィンの考えを理解するためには、まず、彼が進化論を考えた当時の自然に対する思想を知る必要がある。 Previous Page - Page 1 - Next Page [ 目次] |
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