Previous Page - Page 3 - Next Page [ 目次]

2―ダーウィン登場

フィンチのくちばし
 ダーウィンの進化論は、このようなキリスト教による自然観を根本的に否定することになる。生物がもっている巧みな性質や構造は、その生物が生息する環境でうまくやっていけるように変化して生じたもので、神によってデザインされたものではない。また、類似した生物の種は、共通の祖先が分かれて生じたもので、神が種を別々に創ったわけでもないし、神の設計どおりの方向に変化しているというわけでもない。
 では、ダーウィンはどうしてこのような進化観をもつようになったのだろうか。
 彼はガラパゴスの島々で、フィンチのくちばしが少しずつ異なり、異なる種子を食べるのに適していることに気づいた。細長いくちばしは花の蜜を吸うのに適しているし、ペンチのようなくちばしは堅い実を砕くのに都合よくできている。それは、いろいろなタイプのくちばしをもつダーウィンフィンチが、それぞれの生活によくマッチしていることを示していた。
 さらに、隣り合う島のフィンチはよく似ていること、また新しくできたと思われる島にいる種は、近くにある新しい島より、古い方の島にいる種とよく似ていることなどを、ダーウィンは観察した。
 そこから彼は、古い島に棲む鳥の祖先が新しい島に渡り別の種類になった、と推測したといわれる。そして、それぞれの種はそれぞれの環境に適合して変化しているものの、その起源は古い島や大陸から移住してきた種が変化したものであると考えた。そこでダーウィンは、共通の祖先が分かれて別々の種が生じるということと、環境に適合して個体が変化するという2つの考えを組み合わせると、生物をうまく説明できることに気がついたという。
 もっとも、ダーウィンがほんとうにこのダーウィンフィンチから進化のヒントを得たかどうかについては、疑問視されている。ダーウィンは島や集団ごとに少しずつ異なるフィンチをうまく分類できずに、イギリスには少数の標本しか持ち帰っていないという。
 どうも実際は、ダーウィンの進化論には、ガラパゴスのマネシツグミが重要な役割を果たしていたらしい(マネシツグミは、全長二○〜三○センチの尾の長い鳥で、他の鳥や動物の声をまねることでよく知られている)。しかし、ダーウィンフィンチをマネシツグミに置き換えて考えればいい。実際のヒントとなった生物はフィンチではないかもしれないが、彼が進化を考えた道筋は、おおよそ上に述べたとおりであろう。

Previous Page - Page 3 - Next Page [ 目次]